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頭部X線規格写真のことをセファロと呼びます。簡単にいうと、どの歯医者さんで撮影しても同じ規格で撮影できますよという写真の撮り方です。1931年にブロードベント(Broadbent)によって発表されて以来、矯正治療を行う前にはこの写真を撮影することが大原則となっています。顎の大きさやズレ、歯の傾斜などを診査します。世界的にみても矯正治療をこの検査なしにすすめていくことはありえないといっても過言ではありません。
このセファロ検査をせず矯正治療を開始してしまうと、治療介入が必要であるかどうか、もしくは戦略的に医学的に経過観察すべきであることの根拠や、治療中の症状の改善や悪化といった変化を把握できないことになってしまいます。
セファロ分析のやり方はかなり多くの数があり、具体的に列挙すると・Downs法・Northwestern法・Tweed法・Steiner法・Wits法・Sassouni法・Jaraback法・Ricketts法など挙げればきりがないくらいの分析法があります。
一つの分析で全てを把握することは困難であるため、1931年にセファロが開発されこれだけの期間が経ってもいくつもの分析が淘汰されずに、今なお使用されています。
例えば骨格性反対咬合(受け口)と診断される場合、上記に列挙した8つの分析すべてで骨格性反対咬合(受け口)であると診断されることはほとんどありません。それはそれぞれの分析においてみるポイントが違うからです。ではどのような分析をして骨格性反対咬合(受け口)と判断するのかというと、DownsやNorthwestern分析では骨格性反対咬合(受け口)ではないと診断されているが、SteinerやRicketts分析では骨格性反対咬合(受け口)と診断されているなどといったことを、複合的にみて診断する必要があります。これらの分析方法をそれぞれ習熟し理解することは容易ではなく、それがきちんとでき、診断へ活かせる歯科医師が矯正医であるといえます。
上記の検査・分析を行い長期的な視点で治療計画を立案します。医院側で立てた治療計画をを患者様へ説明し同意、契約を経て矯正治療がようやくスタートします。装置をつけるのは1年くらいと思っていたのに5~6年も装置が入っているというトラブルもあります。当初の予定ではどういう治療計画で治療期間がどのくらいになるのか、また治療を進めていくうちに当初の予定と違うことが起こり治療計画の変更を余儀なくされた場合も、きちんと患者様へ説明し、相談しながらすすめていくことが通常です。
・セファロの検査があること
・セファロ分析をきちんと行っていること
・検査、分析結果の説明、長期的な治療計画の説明があること
・最初に提示された期間になっても治療が終わらない時は、1.予定の治療期間で終了しない理由、2.今後の見通しや装置の種類や治療期間について、担当医としっかりお話しください
矯正治療を診療に取り入れている歯科医院が増えたこともあり、低年齢で矯正治療を開始することが多くなってきています。早い方がいいと勧められて、不要なまたは高額な治療を行うことになったというトラブルも増えています。きちんとした治療計画に基づき治療を行うことで、低年齢のお子さんは顎の成長を矯正治療に活かすことができ治療効果が見込めますが、全ての方に効果的であることはありません。場合によっては戦略的に治療を遅らせることも必要になります。
「今すぐ始めた方がよい」と言われてしまい、「急かされている」と感じる場合はセカンドオピニオンをお勧めします。矯正治療の方法は一つしかないということはありません。埋伏歯による隣在歯の吸収や、嚢胞、場合によっては腫瘍による歯並びの問題の場合は可及的速やかに治療を開始することが望ましいこともあります。まずはお口の状態を診察し、場合によっては検査診断を経て治療開始時期を判断することとなります。
拡大床装置を使用したトラブルは後を絶ちません。
日本臨床矯正歯科医会のホームページにも掲載されており、非常によくまとめられています。
下記の画像は上記ホームページから引用させていただいております。
矯正歯科医会前広報理事の三村 博先生もこのホームページ上で「拡大装置のひとつである拡大床とは、あごを広げるものではなく、歯を外側に傾斜させて歯を拡大させるために使うものです。そのため適応症は限定され、どのような患者さんにも使える万能の装置では決してありません」とおっしゃられています。
以下日本臨床矯正歯科医会HPより引用
・「あごを広げるから歯を抜かずに矯正ができる」
・「取りはずしができて人目につかない」
・「夜間と数時間だけの使用でよいから負担にならない」
・「簡単に治る」
・「治療費が安い」
……といった謳い文句で歯科医からすすめられ使用した結果、歯並びが改善しないばかりか「かえって症状が悪化した」、「装置をはずしたら元に戻った」というトラブルが続発しています。
「本来、矯正歯科治療は患者さん一人一人に合わせたオーダーメイドの治療であり、その方の状態に合った適切な治療を行うためには、矯正歯科治療についての専門教育と研修、経験が不可欠です。しかし、昨今は口腔機能の向上という医療の目的よりも、治療を商業的に捉える診療所があり、わずか1日の矯正歯科セミナーで矯正歯科治療を学び、適切な検査や診断なしに既成の装置(咬合誘導装置)を使って、簡単に治療を行ってしまうケースがあるのです。このことを、我々は非常に憂慮しています」と注意喚起が行われています。
成長期における矯正治療いわゆる小児矯正では、顎の成長を利用して顎を広げる「床矯正」という治療を行うことがあります。顎を広げるという言葉を使用していますが、厳密には「歯」を広げる装置です。
一般的に床装置に拡大ネジがついた拡大床という装置を用いて、歯並びを整えるための隙間を作る方法です。使用時間が短いこと、夜間の使用になるので装置が目立たない、歯を抜かないで矯正できるというメリットがあります。問題は全てのお子さんが床矯正で矯正できるわけではなく、ほんの一部の患者さんにのみ適用されるということです。
しかし、先述した聞こえのいい謳い文句を並べ、きちんと検査もせずに床矯正を始める例があります。歯を外側に傾斜移動させて歯列を拡大する方法なので、広げる量によっては歯だけが斜めに広がり、歯が歯槽骨から出てしまい歯肉退縮を引き起こしたり、口元を突出させてしまうといったトラブルを引き起こします。
経験を積んだ矯正歯科医の多くは床矯正を矯正治療の補助的な装置として捉え、メインの装置として扱うことはありません。小児矯正では、大人の方の矯正とは異なり、成長期特有の顎の成長や、歯の角度や向きなどのバランスを考えて治療する技術が必要となります。非抜歯治療として床矯正を勧めることで上記のような失敗例が多く発生していることが大きな問題となっています。
先ほどから何度も記載しているように、拡大床は歯を広げる装置です。顎を広げる装置ではありません。歯を広げるためにこの装置の使用が望ましい場合もあるため、床装置がすべて悪いわけではありません。どのような目的で使用するのかしっかり確認をしましょう。
その際のチェックポイントとして
・検査とそれに伴った診断、カウンセリングがない
・検査の前に装置が決まっている
・矯正装置の選択肢がほとんどない
・床装置もしくはマウスピース装置しかすすめられない
上記のいずれかに当てはまる場合は少し注意をして下さい。
それは検査・診断をしてすべての問題点を整理し使用する装置や治療時期が決定するはずであること、装置の種類によりメリットデメリットや効果が異なるため、通常は様々な装置を状況に応じ使い分けるため、診断結果に基づきなぜその装置を選択するのか理由があり、それをきちんと説明するのが診断であるからです。
床装置の怖いところは、歯並びが改善しないだけでなく、かえって悪化すること、場合によっては取り返しのつかない状況に陥ってしまうこともあります。用途を守れば効果的な薬が用法・用量を間違うと毒薬となってしまうようなイメージでしょうか。
日本臨床矯正歯科医会HPに非常に良くまとめられていますので、ぜひご覧ください。
矯正治療中は歯磨きが難しく、器具の周りからむし歯になってしまうことがあります。
そうならないように矯正中はもちろん、矯正前にむし歯治療やむし歯リスクを軽減しておく必要があります。歯磨きがどうしてもきちんとできないなど、場合によってはむし歯を危惧して矯正治療がスタートできないこともあります。
当院のような、矯正専門医院でもむし歯治療を同じクリニックで行っている場合は、すべてその医院で管理してもらっていると思います。
一般歯科で月に何度か矯正の先生が来られている場合も、その医院で管理してもらっていると思います。
矯正治療のみ行っている矯正専門歯科医院の場合、連携する一般歯科が必ず存在します。矯正前のむし歯治療やむし歯のチェックはどこの歯科医院でも簡単にできるものではなく、装着する矯正器具や装着期間を考慮して行う必要があるため、基本的には決まった歯科医院と密に連携をとって行うことが一般的です。
矯正中にむし歯ができてしまった場合、
矯正医からは「むし歯は一般歯科でみてもらってるよね」
一般歯科医からは「矯正器具入ってたらむし歯のチェックなんができないよ」
そのような形で管理の所在がはっきりしていないため、むし歯になってしまってから不信感につながるトラブルも多くなっています。
また矯正治療中のむし歯管理が全くできておらず、矯正後器具の撤去を行った際にようやく大きなむし歯の進行が発覚し、その時点からの紹介となると神経を取る処置が必要となったり、場合によっては抜歯になってしまうこともあります。写真では矯正後むし歯治療を依頼された時点で、神経に達する大きなむし歯があり根尖病巣を認め(赤矢印の箇所)、むし歯治療と根管治療を行っています。(青矢印)
小学生から中高生の間に矯正治療を行うことも増えてきています。学業や部活、習い事が生活の中で大部分を占めてしまっている場合、矯正治療での通院がなおざりになってしまうことがごく稀にあります。
基本的には矯正治療開始前に、治療期間中は定期的な通院が必要であることをきちんとお伝えし、了承を得たうえで矯正治療を開始していきますが、矯正開始時から生活環境が変わってしまい優先順位が大きく変わってしまうことにより来院が滞ってしまうことがあります。
その間もきちんとセルフケアが行われていればむし歯のトラブルになることはありませんが、半年ぶりなど期間があいて来院された際には、矯正器具の周りからむし歯だらけになってしまっているというトラブルも起こってしまいます。
矯正開始前に必ず、むし歯に関してどのように管理するのかを確認してください。
一般的には矯正専門医の場合でも、密に連携をとっている一般歯科医が存在します。むし歯の管理に関して責任を持ってしっかりと対応している矯正医の場合であれば、矯正前に通院していたご自身のかかりつけ医ではなく、矯正を行う歯科医院から「当院で矯正治療を行うのであれば、ここの一般歯科でむし歯やクリーニングを受けてください」と病院を指定されると思います。
割り箸の先で飛び出しているワイヤーを押し付けて下さい。
お渡ししている保護用のワックスでカバーして下さい。
お渡ししている保護用のワックスでカバーして下さい。
ご自宅にあるハサミや爪切りでカットして下さい。
お渡ししている保護用のワックスでカバーして下さい。
お渡ししている保護用のワックスでカバーして下さい。
お渡ししている保護用のワックスでカバーし、できるだけ早めにご連絡下さい。
痛みがない場合がほとんどで緊急で来院が必要でないことが多いですが、まずご連絡いただき、状況をお伺いし相談させて頂きます。
お渡ししている保護用のワックスでカバーし、できるだけ早めにご連絡下さい。
下のような状態であれば、ワイヤーの種類によっては引っ張ってもらうと元に戻せることがあります。緊急時はワイヤーを引っ張ってみてください。ご自身で戻した後も一度ご連絡下さい。
年末年始など長期休みの場合や連絡がつかない場合など、緊急時は爪切りやニッパーなどでワイヤーをカットしてもらっても構いません。
ご自身で対応できないため、できるだけ早めにご連絡下さい。
装置を外したり、装置を調整する必要がある可能性が高いです。
「ちょっと痛いなぁ」くらいの場合は緊急性はありませんが、歯の動きとともさらに装置が当たってくることもあるため、早めにご相談下さい。
万が一飲み込んでしまっても胃や腸に引っかかってしまう可能性は極めて低いです。ほぼ、便とともに体外に排出されますのでご安心下さい。