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無意識の癖が
歯並びに影響を与えています
体の機能はお乳を吸うなど生まれながらに備わっているものもありますが、乳幼児期から食べたり話しをしたり息をしたり、それぞれの生活習慣の中で成長とともに獲得され、十分に習熟して身に付けていくものもあります。その中には無意識に行う良くない習慣的行動が存在しそれを習癖(しゅうへき)と呼びます。特に口に関連した習癖を口腔習癖と呼びます。
歯の位置は歯を取り囲む舌・頬・口唇などの筋肉のバランスにより影響を受けています。歯は数十グラムという小さい力で動きだし、成長期においては顎の骨も著しく成長します。つまり良くない習癖により過剰な負担がかかると歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼすことがあるのです。歯並びが悪くなる形態的なことと、習癖などの機能的な問題は「ニワトリが先かタマゴが先か」というように相互に影響しあっています。
いつも口で息をしているとしまりのない口元になり、歯肉がはれやすく歯列も狭くなってしまいます。鼻やのどの疾患が原因の場合、耳鼻科での治療が必要なこともあります。
下唇を咬んだりなめる癖は、出っ歯やかみ合わせが深くなりやすく、上唇を咬む癖は受け口になりやすくなります。冬場には唇が赤く、荒れやすいことも口唇なめの特徴です。
頬杖をつく癖やうつぶせ寝により、下顎に継続的に力が加わることにより、かみ合わせが深くなったり、顔の左右非対称を引き起こす原因となる可能性があります。
食べ物を飲み込む際に舌で前歯を押したり、普段舌を出したりする癖を舌癖といい、歯並びや発音に影響を及ぼします。舌癖の原因に舌小帯という舌の裏の筋が短い場合があり、その際は外科的に切除を行いトレーニングを行います。
離乳食の初期では食べ物を飲み込む際に舌の突出が認められます。離乳食が完了する頃には舌の機能も良くなり舌の前方突出はなくなっていき、幼児期にしっかり成熟させて成人型の飲み込み方へと変化していきます。
3歳までの指しゃぶりは赤ちゃんの時の「吸う」という生まれながらの反射のなごりと考えられるため特に問題ではありません。4~5歳になっても続いている場合は、早めに対応し改善していくことが必要です。
4~5歳になっても継続的に指しゃぶりが続いていると、上の前歯が前方に出る(前突)・上下の前歯に隙間が空く(開咬)・上の歯列のアーチが狭くV字型になったり奥歯の咬みあわせのずれ(交叉)が生じることがあります。
爪をかむことにより、前歯の根が短くなったり、前歯の隙間やがたつきといった、歯並びの不正の原因となります。精神的に不安定なときに無意識の内に出てしまう癖とも言われており、何か心理的な要因があるのかもしれません。
口腔機能に問題のある患者さんはいつも口がポカンと開き、舌が前方に出たり低い位置にあることが多く、また飲み込むときに舌が前方に出てしまい、歯をおすこともよく認められます。このような患者さんは、舌をいつも正しい位置である上あごにつけられるように舌の拳上力を強化する練習や飲み込み方などをトレーニングを行います。
唇や頬の筋肉が弱くいつも口元にしまりがない場合は、唇の練習も大切です。例えば、前歯と口唇の間にひも付きボタンをはさみ、口唇に力を入れ、ひもを強く引っ張りリラックスするといったストレッチを行います。
このように弱い筋肉をチェックし患者さん一人一人に応じたトレーニングを行います。