学校歯科健診における歯列・咬合の異常について

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学校歯科健診における歯列・咬合の異常について

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学校歯科健診における歯列・咬合の異常について

学校歯科健診における歯列・咬合の異常について

こんにちは、大阪の阪急茨木市駅前のみやの矯正・小児歯科クリニックです。

今回は学校健診における歯列・咬合の異常についてについてお話していきたいと思います。

 

学校健診とは

本ブログは、歯科医師会が掲載している「学校健診マニュアル」を参考に引用し書いています。

学校における健康診断の考え方として、

・潜在する疾病を早期に発見して適切な処置を講ずること。

・生涯の健康のための教育効果を高めることが目的であり、健康であるかどうかふるい分けることを 目標としたスクリーニングであり、医学的な立場からの確定診断を行うものではない

と書かれています。

ここで特に重要なのが医学的確定診断ではないということです。

この前歯医者で検診したのに、学校健診でむし歯にチェックついたんですけど!!と声を荒げる方も中にはいらっしゃいます。

学校の健診は疑わしきは罰すどころではなく、疑わしくなくても罰しておけというスタンスと言っても過言ではありません。

大きな小学校であれば、何百人を連続できちんとしたライトもない暗闇の中、口も触れずミラーのみを駆使してチェックしていくのです。一人一人丁寧に考える時間もありません。健診を行う歯科医師には、反射的に短時間で怪しそうなものはすべて問題ありとしていくことが求められているのです。

 

学校での歯科健診における診査項目

①姿勢・顎顔面全体のバランスを観察・診査

②口周囲・口腔内を観察・診査

(口唇、口角、舌、 舌小帯、口蓋、 口腔粘膜)

③歯列・咬合・顎関節を診査

④歯垢の付着を診査

⑤歯肉の診査

⑥歯の検査

(むし歯や要注意乳歯など)

の上記項目を、0:異常なし 1:要観察 2:要精検 と3段階に分けて評価し、それを口頭で伝え補助者に記載してもらうのです。

学校の先生が記載している場合もあるのかもしれませんが、歯医者と一緒にいつも一緒に働いている衛生士さんも学校健診同行することも多いです。

それは歯式と呼ばれる紙への記載や歯科医師の表現をしっかりと聞き取るのにも専門的な知識が必要になってくるからです。

 

 

歯列・咬合の項目の評価基準

1:要観察

軽度の歯列異常、不正咬合

1~2歯の反対被蓋や切端咬合で経過観察が適当なもの

 

2:要精検

重度の歯列異常・不正咬合

①叢生:隣接歯が互いの歯冠幅径の1/4以上の重なるもの

②正中離開:上顎中前歯間に6mm以上の間隙

③反対咬合:3歯以上の反対咬合

④1歯でも骨格性を疑う下顎前突

⑤上顎前突:オーバージェット8mm以上

⑥開咬:上下顎前歯切線間に垂直的に6mm以上

その他、本人や保護者から、矯正治療の相談の申し出のあるもの等で歯科医師の精密検査が必要なもの

 

 

歯列・咬合の項目の評価基準の正確さ

先述したように、学校健診では明確にこのような状態であれば要精密検査にしなさいと基準があるのですが、実際現場では流れ作業です。

そのような細かい基準に照らし合わせて一つ一つ丁寧に確認することなどできません。

ですので、要精密検査にチェックがついたからといって問題ないこともありますし、逆に何もチェックがつかなくても重大な問題が実はあったということも少なくはありません。

学校健診正確性など必要がないですし、その判断に責任もありません。

感情としては歯医者がみてくれているのだからと正しいのでは?と感じてしまうのも理解できますが、正確な診断は歯科医院でしかできないと思っていただけたらと思います。

 

保険診療で矯正相談が可能となりました。

令和6年度診療報酬改定により、2024年6月から「学校歯科健診などで咬合異常または顎変形症の疑いがあると判断された患者」に関して、「矯正相談料」が保険で算定可能となりました。「どの歯科医院でも保険の中で矯正相談ができるようになった」ととらえてもらって構いません。

今回の改正は、相談のみ保険で可能となっただけです。矯正治療自体は変わらず基本的には自費になります。

・永久歯が先天的に6本以上欠損している方・永久歯が3本以上埋伏している方

・ホルモン分泌不全性低身長症の方

といった特殊な状態の方は今まで通り保険で矯正治療が可能です。

相談を希望される場合は、・学校からもらった紙(歯列・咬合に問題がある方のみ)を必ず持って行ってください。

 

学校歯科健診では絶対にわからない問題

学校検診では肉眼で目に見える箇所の検査しかできません。

小学生の歯並びの問題として、顎の中に埋まっている歯に問題が大多数を占めます。

腫瘍や嚢胞、過剰歯といった摘出手術が必要な状態や、埋伏や異所萌出など永久歯がへんな場所に存在し今後大きな問題が予想される状態、永久歯の先天性欠如といったようなものがそれにあたります。

以前のブログでもレントゲン写真における検査の重要性を書きました。

「レントゲン撮影をせずに子供の歯並びを診てほしい」というのは、車の内部が故障しているかどうかを、車のドアやボンネットを開けずに検査してほしいと言っているのと同じですと。

 

火傷をおって大学病院などへ小さなお子様が救急搬送された場合、ほとんどの場合に必ず児童相談所へ連絡を入れると言います。もちろん不慮の事故ということも多いと思いますが、児童虐待児童虐待の予防と早期発見のためでもあります。虐待やネグレクトといった被虐児は一般の子供に比べて、むし歯罹患率が高く一人あたりむし歯数が多いことが判明しています。

上記を踏まえると、

・学校健診は普段歯医者に通院していない子供を歯医者に行かせるため

・口腔内が崩壊していたりした場合、ネグレクトといった家庭環境を疑うため

このような意味合いからも学校歯科健診は非常に大切だとは思います。

ただし、学校健診は普段きちんと定期的に歯医者に通院されているお子様にとってはあまり意味をなさないものといえるかもしれません。個人的には、定期的に歯科医院で健診を受けている方は学校歯科健診をパスしてもよいという制度でも問題ないかと思っていますが、学校での管理が余計煩雑になってしまうなど実際には難しいのだと思います。

学校歯科健診の結果に一喜一憂せず、きちんとかかりつけの歯科医院でご相談いただけたらと思います。

 

 

Junichi Miyano

みやの矯正・小児歯科クリニック(大阪・茨木)

院長宮野 純一

Junichi Miyano

2006.3
大阪星光学院高等学校卒業
2012.3
大阪大学歯学部卒業
2020.8
みやの矯正・小児歯科クリニック開院

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