2024.10.01
こんにちは、大阪の阪急茨木市駅前のみやの矯正・小児歯科クリニックです。
今回は外傷と矯正治療についてお話したいと思います。
先日、岡山大学歯学部の矯正科の医局の先生方に対し、「外傷と矯正治療」という演題で講演をさせていただきました。
日々の診療を行っていると、いわゆる臨床家としての仕事がどうしてもメインとなってしまいますが、
岡山大学の先生方のサポートのもと論文を投稿したり、このような講演をさせていただいたりと学術的な仕事も行っています。
その内容の一部ですが、今回ブログで紹介させていただきたいと思います。
骨折=外科処置
と感じる方も多いかと思いますが、実は小児の顎関節骨折の場合ほとんどの場合手術をしないことが多いです。もちろん骨体部とよばれる下顎の本体部分にの骨折については手術にてプレートでとめる治療を行うことがあるのですが(黄色矢印部分)、顎の関節の場合は手術が難しいことや成長による変化に対する悪影響を考慮し、ほとんどの場合が保存的治療(手術をしない治療)を行います。(赤矢印部分)
手術をしないため口腔外科的な処置ではなく、マウスピースを使用して顎関節の保護を行います。
マウスピースの材質や厚み、使用方法など様々なやり方がありますが、実は矯正歯科で日常的に行われている治療方法が顎関節の骨折に対しても適用できるのです。岡山大学の講演ではそのあたりの具体的な方法についてもお話させていただきました。
外傷の種類には破折性の外傷と脱臼性の外傷があります。
破折性の外傷には大きく
・歯冠破折
・歯根破折
の2つがあり、
脱臼性の外傷には
・震盪(しんとう)
・亜脱臼(あだっきゅう)
・挺出性脱臼(ていしゅつせいだっきゅう)
・側方性脱臼(そくほうせいだっきゅう)
・脱落(だつらく)
・陥入(かんにゅう)
の6つがあります。
歯冠破折の程度にもよりますが、破折が軽度の場合はそのまま経過観察としたり、場合によってはレジンとよばれる樹脂で詰めます。
破折が比較的大きく、破折片がある場合はその破折片をくっつけます。
破折の程度がさらに大きく神経まで達してしまう場合は神経を取る処置が必要な場合もあります。神経を取った後は歯を大きく削りかぶせ物の治療を行う必要があります。
歯根破折もその程度によっては抜歯が必要となることもあります。
頭の部分がなくなってしまい、根っこの部分だけ残っている場合は埋まっている根っこの部分を引き出すことにより歯として使用できるようになる可能性があります。その際に矯正歯科のテクニックを利用することでうまく歯を引き延ばす(挺出させる)ことができます。
脱臼の程度が小さく、位置変化がない場合はそのまま固定を行います。
脱臼の程度が大きく、位置変化がある場合は歯牙の位置を元に戻し固定します。
脱落時には歯の保存状況にもよりますが、再植を行い固定をすることで、また歯として使用できる場合があります。
外傷が起こった場合、上記のトラブルが複合的に起こります。
外傷時の対応が矯正治療にてすべて解決するわけではありませんが、矯正治療にて外傷での問題を軽減できる場合もあります。
外傷は突然起こり、急な対応が必要となります。
旅行先で外傷をしてしまうというケースもありますが、基本的にはお住まいの近くで外傷を起こすことが多いかと思います。
ですので、外傷に対する知識を持つことだけでなく、緊急時にすぐに診てもらえるように普段から定期検診に通院しかかりつけ医をきちんと見つけておくことも大切です。
普段歯医者に行かれていない場合飛び込みで新しい歯医者に診てもらうことになりますが、多くの場合他の患者さんがおり対応できず診れない場合もあり、診てもらえる歯医者を探すことが難しくなります。
お子さんの生え変わりや歯並びのことなど、ご不安な点や、気になる点があれば一度ご相談ください。
みやの矯正・小児歯科クリニック
大阪府茨木市別院町4-15 別院町・掛谷第6ビル
みやの矯正・小児歯科クリニック(大阪・茨木)
院長宮野 純一Junichi Miyano