2024.12.03
こんにちは、大阪の阪急茨木市駅前のみやの矯正・小児歯科クリニックです。
面長や丸顔など、日常生活においても顔の骨格の違いはなんとなくイメージできるのではないでしょうか。
今回は、「骨格の違いと矯正治療」について話していきます。
顔貌の分析は矯正治療を行う場合、必須となります。それは歯並びは口の中の問題だけではなく、顔貌の問題と大きく関連しているからです。
顔貌の分析はセファロ分析を使用します。
セファロ分析とは、1931年にBroadbentらによって発表されて以来、歯科矯正学の分野では現在まで広く使用されているレントゲン撮影を利用した分析方法です。詳しくは以前のブログを参照してください。
基本的には
Dolicofacial pattern(長顔型・ハイアングル・Highangle・面長)
Mesiofacial pattern(中顔型)
Brachyfacial pattern(短顔型・ローアングル・Lowangle・丸顔・えらはり顔)
の3つのパターンに分かれます。
Dolicofacial patternはドリコと略して呼ばれたりもします。 Brachyfacial patternはブレーキーと呼んだりもします。
我々矯正歯科医はこの3つの顔面のタイプにより、治療メカニクスに対する反応や、成長変化による影響、治療目標の設定などに大きく相違や特徴があること踏まえ、治療に臨んでいます。
もちろん完全にこの3つに分類することは難しく、Dolico傾向のあるMesiofacial patternや、Brachyo傾向のあるMesiofacial patternなどといった表現をすることもあります。
顔貌をぱっとみた印象と、セファロ分析により骨格の診断を行った結果が大きく異なることもあります。筋肉や皮膚といった軟組織が顔貌の印象に大きく影響してしまうからであり、矯正歯科医は、なんとなく感じる顔貌の印象が不確実であることを実際によく経験しています。
面長、つまりDolicofacial patternの方の特徴として
・骨、筋肉が細く咬合力が弱い
・顎(オトガイ部)は下向きに成長しやすい
が挙げられます。
丸顔やえらはり顔、つまりBrachyfacial patternの方の特徴として
・骨、筋肉が太く咬合力が強い
・顎(オトガイ部)は前に成長しやすい
が挙げられます。
面長の方が顔の幅は短い一方、顔の長さは長くなる傾向があり、丸顔・えらはり顔の方が顔の長さは短く、顔の幅は大きくなる傾向があります。
これらは特徴であり、どちらが良いというものではありません。
また、遺伝的な影響も受けやすく、矯正治療によって大きくタイプを変えることができるものでもありません。
面長のお顔のお子さんは床矯正の適応症ではないことが多いです。
床矯正についてはこちらのブログを参照してください。
床矯正で問題となるトラブルの多くは、この面長タイプの骨格の場合が多いです。それは、床矯正治療を行うことにより、顎ではなく歯が傾斜して広がっていき、その結果歯の挺出(歯が生える方向に伸ばされること)が起こり、さらに面長になる成長を誘引してしまいます。
また、口の中の変化としては、奥歯がよくない動きをしてしまうことで前歯が噛めなくなっていき、上下の前歯の隙間に舌が入り込む悪い舌の癖も生まれ、悪循環となりどんどん悪化していきます。
面長タイプの方への床矯正は、このような良くない変化を人為的に生み出してしまう可能性があるので、注意して使用する必要があります。
顔貌や骨格は人種により大きく違います。日本人は元々顎が華奢で面長の顔立ちの方が多く、最近のお子さんは特にその傾向があるように感じます。つまり、日本人の多くはこの床矯正を使用してはならない不適応な患者様ということになります。
このような骨格のタイプの方でスペース不足を認める方は、永久歯に交換してから大人の歯を2本から4本抜歯することによるいわゆる抜歯矯正を行うことも多いです。歯を抜かずに矯正治療ができれば一番良いですが、骨格的にそれが困難であることも把握したうえで、どの時点で矯正治療を開始すべきなのか、どのような装置を使用していくべきなのか検討していく必要があります。
お子さんの生え変わりや歯並びのことなど、ご不安な点や、気になる点があれば一度ご相談ください。
茨木だけでなく、吹田や箕面、高槻からもご来院いただいております。
みやの矯正・小児歯科クリニック
大阪府茨木市別院町4-15 別院町・掛谷第6ビル1F
みやの矯正・小児歯科クリニック(大阪・茨木)
院長宮野 純一Junichi Miyano