2024.10.01
妊娠中・妊娠の可能性がある方は、レントゲン検査はできませんので事前にお伝えください。
レントゲン撮影を希望されない場合、生え変わりのすべて終わっている中学生以降に関しては、「むし歯」「歯周病」「親知らず」「歯根吸収」「腫瘍や嚢胞などの病変」によるトラブルはないものと仮定してお話します。後日レントゲン撮影を行った際にみつかったトラブルや問題点に関して一切責任を持てません。
レントゲンがない状態で根拠なくそれっぽいお話をしてしまうほうが罪深いことだからです。
レントゲン検査はX線検査ともいいます。
X線は電波や紫外線といった電磁波の一種です。波長が短いため透過力に優れており、物質を透過したX線画像を作ることができます。
X線は人体に有害であるのは間違いないですが、レントゲンから得られる情報も多いため歯科や医科では非常に重要な検査となっています。
被ばくの単位の一つとして実効線量(mSvミリシーベルト)が使われます。
実効線量は全身が均一に被ばくしたと仮定して計算された線量のことをいいます。
歯科のレントゲン撮影による被ばく量は、歯全体を撮影するパノラマX線撮影で0.02mSv・数本の歯だけを撮影するデンタル撮影で0.01mSvです。(朝日レントゲン資料引用)3次元的なCT撮影においても歯科では0.2mSvくらいです。
では私たちが普通に日常生活を送るうえでどのくらい被ばくをしているかというと、空から絶え間なく降り注いでいる自然界の放射線を年間で1.5~2.4mSvほどと言われています。
また宇宙と近い場所を長時間通過する飛行機も被ばく量が多いと言われており、東京とニューヨークを往復すると0.2mSv被ばくします。
車の内部が故障しているかどうかを、車のドアやボンネットを開けずに検査してほしいと言われたらどう思いますか?
何もわからないし検査できませんというしかないと思いませんか?
これと全く同じです。
生え変わりとそれに伴う歯並びの問題をみるのにレントゲンを撮影しないとほとんど何もわかりません。
他の車屋さんで何度もボンネットを開けているから、車のドアやボンネットを開けずに検査してほしいと言われたらどう思いますか?
これと全く同じです。
他院で何度も撮影していようがこちらには関係なく、レントゲン撮影をしないとわからないものはわかりません。
他の車屋さんでボンネットを開けている写真があるから、それで検査してほしいと言われたらどう思いますか?
これと全く同じです。
写真を撮影した日時が最近であること、きれいに撮影していること(ぶれたりしていない、画質が良い等)、目的に合致した写真が撮影されていること
これらの条件を満たした場合にはお持ちいただいた写真で判断できることもありますが、そうではない場合は再撮影が必要になることも多いです。
当院で撮影したレントゲン写真はご希望があれば印刷してお渡しします。
ただその写真が他の歯医者さんにとって使用可能かどうかはその歯医者の判断であり、先に撮影した歯医者には判断しかねます。
先述したとおり、東京とニューヨークを往復する飛行機に乗るだけで、宇宙線の影響で0.2mSv被ばくします。
多くの歯科医院の初診時に撮影するパノラマレントゲンに換算すると10枚分となります。
10件の歯医者でレントゲン撮影をする被ばく量=東京ニューヨーク旅行時の被ばく量です。
もちろんメリットなく無駄に被ばくするのは大きな問題ですが、そのデメリットよりも大きなメリットがあるため必ずレントゲン撮影を行います。
被ばくに対しかなり敏感に感じる方もいらっしゃると思います。被ばくするから飛行機にも乗られない方や、良く晴れた日差しの強い日には被ばく量が多くなるから絶対外出はしないほど被ばく量を気にされている方にとっては、歯医者での被ばくももちろん許容できない場合と思いますしこちらが強制するものでもありません。
ただ生え変わりの途中であるお子様の矯正相談で来られる限りは、レントゲンを撮影しないとほとんど何も情報提供できないことには変わりありません。
お話できることは一般論や推測の域を出ないほとんど意味のないやりとりになってしまうことをご理解ください。
むし歯の問題がない子などは多くの歯科医院でパノラマレントゲン写真をとることはありません。
保険診療の本質として、そこに問題があるから精査するという考え方があるので仕方がない部分もあります。
以下の例は矯正相談にて生え変わりのレントゲン撮影を行ったおかげで発覚した症例です。
歯牙腫は腫瘍の一種です。「腫瘍」と聞くと怖いイメージに聞こえてしまいますが、良性腫瘍であるため生命に直接関係する重大な病気でありません。
ただし、腫瘍は大きく成長していくため発見が遅れると顎の骨を大きく吸収してしまったり、将来的な歯並びに強く影響が出てしまうこともあります。
発見次第すぐに摘出するわけではありませんが、早い段階で口腔外科とも連携しながらどのタイミングで手術をするか相談が可能となります。
基本的にはこの年齢でレントゲン写真を撮影することはありません。受け口の治療を行うためレントゲン検査を行ったところ、歯牙腫が見つかりました。
すぐに口腔外科へ相談に行き、最終的には6歳になったタイミングで摘出手術をすることとなりました。
摘出時には隣接する乳歯も抜歯が必要となるため、歯並びが悪くならないように保隙装置の使用も必要となります。
矯正相談の際にレントゲン検査を行ったところ、前歯のところに大きな歯牙腫(赤矢印)が見つかりました。
すぐに口腔外科へ相談に行ったところすでに前歯の歯並びを大きく変化させており(黄色矢印)、すぐに摘出手術を行うこととなりました。
万が一7歳や8歳で発覚していたら前歯も抜歯だったかもしれないと口腔外科の先生からもお話がありました。
早期に摘出ができたおかげで矯正治療を行うこともなく、3年間かけて自然に正しい位置へ生えてくることができました。
3歳での受け口の相談の際にレントゲン検査を行ったところ、前歯のところに過剰歯(赤矢印)が見つかりました。
定期的なレントゲンにて永久歯との位置関係(黄色矢印)を確認し、口腔外科の先生と相談したうえで5歳のタイミングで抜歯を行いました。
早期に摘出ができたおかげでレントゲン上での永久歯の位置関係も大きな左右差を認めず、きちんと永久歯が生えてくる目途が立ちました。(緑矢印)
スクリーニング検査とは、症状の現れていない人に対して病気や問題を見つける目的で行う検査です。
生え変わりのあるお子様での矯正相談でレントゲン撮影を行い、現時点で何も大きな問題がないとわかることが重要なのです。
もちろん歯の数や歯の位置、ある程度の大きさや生え変わりのスピードなど矯正治療を行うにあった重要なことも最初に把握できるのも重要な要素です。
みやの矯正・小児歯科クリニック
大阪府茨木市別院町4-15 別院町・掛谷第6ビル
みやの矯正・小児歯科クリニック(大阪・茨木)
院長宮野 純一Junichi Miyano