2025.03.31
こんにちは、大阪の阪急茨木市駅前のみやの矯正・小児歯科クリニックです。
「矯正治療で犬歯を抜歯することなんてあるの?」ということで、今回は犬歯を抜歯する矯正治療についてお話したいと思います。
矯正治療での抜歯やIPR(歯を削って小さくする処置)の考え方については以前のブログに書いていますので、そちらもご覧ください。
ブログ「矯正治療で歯を抜かないといけない?」の記事はこちらへ。
矯正治療にて抜歯を行うケースには以下のパターンが考えられます。
①顎が小さくスペース不足
②歯が大きくスペース不足
③噛み合わせの左右非対称が大きく、バランスを合わせる場合
④上下のかみ合わせのバランスが合っておらず、上顎前突や下顎前突である場合
⑤永久歯先天性欠損があり、左右や上下の歯の数がアンバランスな場合
⑥矮小歯がある場合
⑦むし歯や吸収にて歯牙の予後が悪く抜歯適応である場合
先述した矯正治療にて抜歯を行うケースのどのパターンになるかによって大きく異なりますが、一般的には抜歯部位=小臼歯となります。
小臼歯とは前から4番目と5番目に位置する小さい奥歯のことを指します。
矯正治療にて抜歯を行った方をランダムに抽出した場合、おそらく8割か9割以上がこの小臼歯を抜歯していると思います。
その理由としては、小臼歯が抜歯しても一番支障が起きにくい歯だからです。
・前歯は見た目に重要であるため抜歯しにくい
・犬歯は根が長く、力の負荷に強い歯なので抜歯したくない
・大臼歯は大きな奥歯で咀嚼に最も重要なので抜歯しにくい
といった理由で小臼歯以外が抜歯をしにくいため、消去法で小臼歯の抜歯が最も現実的になるのです。
矯正治療にて抜歯を行うケース⑤や⑥の場合は小臼歯以外を抜歯することが多いです。
具体的に一番多いのが、上の2番目の歯(側切歯)が先天的に欠損しているケースや矮小歯であるケースです。
上顎の側切歯は先天性欠損することと矮小歯と呼ばれる形態異常歯であることが多い歯種となります。
本来であれば小臼歯を抜歯する状態であっても、上の2番目の歯が元々ないもしくは小さいため、小臼歯を抜くと左右非対称が顕著になってしまいます。
左右の対称性や審美性を優先し、2番目の歯を抜歯することは少なくありません。
最終的に犬歯が2番目に位置し、審美的な問題を改善するため犬歯の形態修正を行うことも多いです。
犬歯は根が長く、力の負荷に強い歯なのでできるだけ抜歯をしたくない歯種です。
ほとんどの場合、犬歯を抜歯して矯正治療を行うことにはなりません。
ですが、犬歯を抜歯して矯正治療を行うケースがあります。
具体的には
①犬歯が八重歯になっており、排列すると歯肉退縮を起こす可能性が高い場合
②治療期間の短縮を最優先とする場合もしくは部分矯正を行う場合
③犬歯の埋伏を認め、牽引が困難な場合
④反対側の犬歯が先天性欠損している場合
が挙げられます。
スペースが足りていないと犬歯が八重歯になる場合があります。
犬歯の八重歯の程度がそこまで強くない場合は、抜歯を行う場合でも必ず小臼歯を抜歯します。
犬歯の逸脱の程度が強く、歯肉退縮(はぐきがさがってしまう)の可能性が高い場合に犬歯を抜歯して矯正治療を行います。
「歯茎が下がっても犬歯を残すほうがいい」と考える矯正の先生がいるのも事実です。
インターネットで「犬歯は抜いてはいけない」と書かれているものをみると不安に思われる方もいらっしゃいますが、基本的には犬歯は抜かないが状況によっては抜歯適応となるというのが正しい表現となると思います。
先ほどと同様スペースが足りていないと犬歯が八重歯になる場合があります。
犬歯の逸脱の程度が強い場合、小臼歯を抜歯し犬歯を排列するには歯の移動量が多くなります。
移動量が多い=治療期間が長くなる
ため、犬歯を抜歯した方が短期間で治療が終了する事が多いです。
部分矯正の場合も同様であり、部分矯正を行うメリットは治療期間の短縮であるため、犬歯を抜歯する治療プランを選択することもあります。
下記症例は本来であれば上下小臼歯抜歯の診断となりやすいケースでしたが、患者様と相談の上犬歯の抜歯を行い、1年程度治療期間を短縮することができました。
永久歯の交換期の障害として、犬歯の埋伏があります。
犬歯の埋伏位置や程度にもよりますが、深い位置に犬歯が埋伏してしまっていると牽引が困難であることがあります。
年齢が若く、犬歯の根が未完成であれば牽引してみることが多いですが、年齢や根の完成度によっては犬歯は抜歯してしまい排列する場合もあります。
歯並び異常の原因として、永久歯の先天性欠損があります。
先天性欠損は2番目や5番目の歯に多いため3番目の犬歯が埋伏する可能性はかなり低いのですが、犬歯が先天性に欠損してしまう場合があります。
片側の犬歯が元々ないため、バランスをとるために反対側の犬歯を抜歯することもあります。
下記症例は④反対側の犬歯が先天性欠損している場合、だけでなく③犬歯の埋伏を認め、牽引が困難な場合にも該当するため、埋伏している犬歯を抜歯して矯正治療をすることとなりました。
お子さんの生え変わりや歯並びのことなど、ご不安な点や、気になる点があれば一度ご相談ください。
みやの矯正・小児歯科クリニック
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院長宮野 純一Junichi Miyano